お客様からこの大小暦を見せていただき、にわかに暦の歴史に興味がわいた私は、図書館で暦について少し調べてみました。
大小暦が生まれた江戸時代、暦は幕府の統制下にありました。
当時は1年が353日〜385日まで、まちまちでした。
暦を手にするまでは、次の年のどの月が大(30日)でどの月が小(29日)なのかはわかりませんでした。月の大小を全国で標準化する必要があ
ったこと、また権威を示すために、幕府が暦を作り配っていたのです。
暦の流通経路は幕府によって保護限定されており、また私製も厳しく禁じられていた(もし違反すれば島流しだった)ため、暦は手に入りにくい貴重品でした。
一方、商売をしている庶民は毎月末に取引先にお金をいただきに行く、あるいは支払いをする必要があったため、月の大小を知る必要がありました。そこで暦らしからぬ暦を作
り、実用的な品から趣味的なものになっていきました。
上記掲載の大小暦は文字のみですが、江戸時代には絵や文章の中に大小の月を盛り込んだものが流行しました。
日本の暦−国立国会図書館
国立国会図書館運営のWebサイトです。暦の歴史や種類の紹介、そして大小暦の謎解きはとっても面白いですよ!ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。
江戸時代には暦を販売することは禁止されていたため、年頭に知人や得意先に配っ
たそうです。今日でも年末にはご挨拶と一緒にカレンダーをお得意先にお配りしますが、これは古く江戸時代から続いていたのですね。
時代が明治に変わり、ようやく暦の発行は自由化され、また明治7年には改暦があり、太陽暦
(グレゴリオ暦)の使用へと変わっていったのでした。